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2024年04月27日
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【CSVP】吸血鬼と、虚弱な青年。【小説】

2012年04月02日
都我意の過去話的なもの。
【色々なねつ造、なれない小説の書き方で読みにくい、うちの子オンリー、やたら長い。】
以上の要素が含まれています。(え
さらに久々の小説ですので、読みにくかったらすいませぬ。
それでは、追記よりどうぞ。
昔々、とある街に、名のない女の吸血鬼がいました。

彼女は、街ではちょっとした有名人でした。
高名なハンターが、何人も彼女を狩りに街にやって来ました。
ですが、誰も彼女を捕えることはできませんでした。
ハンターの目を盗み、獲物を狩り、何処かへ消えていく。

「誰も俺を捕まえられないのさ。」

彼女は、その暮らしが結構気に入っていました。

そんなある日の昼のことでした。
路地裏で棺桶の上に座り、夜を待っていた彼女の前に、背の高い青年が現れました。
ぼさぼさの髪に、まるで骨のような手足。そして、大きな翡翠の瞳が印象的なその青年は、
彼女を睨んで、静かに問いかけました。

「お前が、吸血鬼か?」

彼女は、赤い瞳を見開いて、彼を見つめると、にやりと、挑発的な笑みを浮かべました。

「そうだとしたら?」
「捕まえる。」
「そうか」

棺桶から降り立ち上がると、その青年は彼女に飛び掛かりました。
ですが、彼女はサッと横に避けると、
べちゃり。
青年はそのまま、地面に顔面をぶつけ、その場で顔を手で押さえながら声にならない叫びを上げました。
吸血鬼は、不思議に思いました。
今まで沢山のハンターと出会ってきましたが、ここまで鈍くさいハンターと出会うのは初めてでした。

「お前、本当にハンターかよ。」
「ッハンター見習いだ!」
「下級か、相方は?」
「………」

困った顔をした青年を見て、吸血鬼はまさかと、青年に問いかけました。

「お前………一般人か?」
「一般人じゃないハンター見習いだ!!」

信じられませんでした。
ですが、納得せざるおえませんでした。
良く考えたら、背はあるものの、見るからに虚弱体質なその青年が、ハンターになれるはずがありません。
しかも、その虚弱な一般人の青年に見つかってしまった。
その事実に、彼女は、内心で自分の中のプライドが傷ついたことを感じました。

「で、そんなハンター見習い様が俺になんの用だ。言っておくけど"捕まえに"なんて言ったら、殺すからな。」
「…ッそんな脅しが俺に通よ…って、え、"俺"?」
「?」

吸血鬼の言葉に一瞬怒りを露わにした青年でしたが、きょとんとして、吸血鬼の前まで歩み寄ります。
吸血鬼はというと、そのまま動かず、怪訝な顔をして青年を見つめました。
長年の勘というものもありましたが、一般人で、さっきの鈍くさいとこを見た後だったからということもあるのでしょう。
彼女からしたら、その青年の息の根を止めるなど、赤子の手を捻る以上に簡単なのでした。

「…なんだよ。」
「…」

しばらく沈黙が続きました。
すると、

むぎゅ。

「ひっ!?」

吸血鬼は、青年の思わぬ行動に固まりました。
なぜなら、青年が、おもいっきり、自分の胸を鷲掴みにしてきたのです。

「あ、やっぱり女だよな。ってゴフッ!!」

次の瞬間、青年は思いっきり、路地裏の壁まで吹き飛びました。
あまりの出来事に混乱した吸血鬼の右ストレートが、綺麗に顔面に直撃したのでした。

「胸がなくて悪かったな!!」

吸血鬼は、顔を真っ赤にして涙を浮かべながら青年に叫ぶと、棺桶の紐をつかんでその場から走り去りました。

(なんだあいつなんだあいつなんなんだあいつ!!)

吸血鬼は、長年生きてきて今までなかった経験に、怒りや驚きが隠せませんでした。
ですが、吸血鬼の攻撃を顔面に受けて、無事なわけがありません。
もう二度と会うことはないだろう。
ある程度走り終えて、吸血鬼は安堵の息を口から零しました。
ですが、それからしばらくして、
青年はまた、吸血鬼の前にあらわれました。

「前回は逃げられたけど今回は逃がさないからな!!」
「それより何で俺を見付けられるんだ!?」
「野性の勘?」
「なんて一切なさそうだよなおまえ。」
「意外にあるかもよ!!」

ケタケタと歯を見せて笑う青年に、吸血鬼は大きなため息を一つこぼしました。
それより前回思いっきり殴ったはずなのに、青年はピンピンしていることに、さらに落ち込みました。
普段であれば、ここで吸血鬼が青年を殺していても何の不思議もありません。
ですが、吸血鬼は青年を殺しませんでした。
青年の、あまりにも馬鹿っぽい笑顔を見て思いました。
こんな馬鹿を殺しても何の意味もない、と。
吸血鬼は、もう一つ、大きなため息を零しました。

「ため息すると幸せが逃げるらしいぞ。」
「誰のせいだ誰の!!」

それからというもの、吸血鬼と青年は、毎日のように追いかけっこをするようになりました。
青年は、吸血鬼がいくら魔法で別のところへ逃げても見付けだし、追い掛けてきました。
吸血鬼はそんな彼に捕まらないように、試行錯誤し、様々な魔術を会得していきました。

「吸血鬼待ちやがれ!!今日こそ捕まえてやるからな!!」
「そういって何敗目だ!!今日も逃げ切ってやる!!」

そしてそのうち、繰り返し繰り返し追いかけっこをしているうちに、
吸血鬼と青年は、休戦と称して、始めて会った路地裏で、色んなことを話すようになっていきました。

「飲むか?」
「なんだその黒い液体」
「コーラって言うんだよ。最近街で仕入れ始めた外国の飲み物なんだけど中々美味くてさぁ!!」
「…じゃあ一口。」
「おう。」
「…………………しゅわしゅわする…ッ!!」
「炭酸飲料だからな。」

そんな日々が続いたある日のことでした。
青年が、正式にハンターとなることが決まりました。
虚弱体質の彼がハンターになれるとは思わなかった吸血鬼は、大層驚きました。
協会から支給された青い宝石の付いた十字架を彼女に見せて、彼は笑いながら言いました。

「お前を捕まえて狩るのは俺だからな。絶対他のハンターに捕まるなよ?」

彼女は、彼の笑顔につられるように、くすくす笑いながら、青年に言いました。

「ああ。それなら俺は、お前が立派になって俺を狩るまで、善人からは血を吸わないようにしようかな。」
「?つまり、悪者を狙う吸血鬼になるのか?」
「俺が正義の味方として名が売れたら、俺を倒したお前が悪者になるだろ?最高の嫌がらせだ。」

吸血鬼が嬉しそうに語る一方で、青年は眉間に皺を寄せて、苦笑を零しました。

「うわぁ………お前酷いこと考えるよな………。」
「はは。そうか?なら俺の名が売れる前に立派になることだな。しないと、どんどん狩りにくくなるぞ?」
「もちろん!!びっくりする勢いで高位ハンターになって、お前を狩りに来てやるよ!!首洗って待ってろよ!!」

出会った当初のように挑戦的な笑みを浮かべて笑う吸血鬼に、
青年は、大きな声でそう告げると、いつものように馬鹿みたいな笑みを浮かべて、これまた大きな声で笑いました。

「ああ。 楽しみにしてるよ。」
「おうよ!!楽しみにしてろよ!!」

それから、二人は変わりました。
青年は、相方のハンターに怒られながらも、ハンターとして勉強し、
吸血鬼は、犯罪者や賞金首ばかりを狙うようになりました。

青年は、約束を果たすために。
吸血鬼は、約束を守るために。

季節は巡り、吸血鬼と青年が出会ってから数年の月日が流れていました。

街には以前のような、凶暴な吸血鬼の話はなくなりました。
代わりに、犯罪者を狙う吸血鬼の噂が流れるようになり、
街で起こる犯罪は、激減していきました。

そんな、ある日のことでした。

街の大通りで、馬車が暴走し、人がひき殺されるという事故が起きました。
吸血鬼は、たまたま街の人間が話しているのを聞いて、耳を疑いました。
嘘だと、何かの間違いだと、彼女は、無我夢中で走りました。

なぜなら、
ひき殺されたのは、

小さな女の子を守るために飛び出した、一人の若いハンター。

女の子は無事だったものの、ハンターは即死だった、というのです。

彼女は、死体が安置されているであろう病院にたどり着きました。
自分の魔術を使って、人間にばれないように忍び込み、
ある部屋に忍び込むと、
白いベットの上の死体を見て絶句しました。

そこには、土気色の肌をした青年が、静かに横たわっていました。
胸には大きな傷跡が残っていて、それが致命傷となったのでしょう。

幸か不幸か、その場には、青年と吸血鬼以外、誰もいませんでした。
吸血鬼は、ゆっくりと近くまで歩み寄ると、その場にしゃがんで、青年の顔を覗き込みました。

「何死んでんだよ、お前。」

吸血鬼は、静かな声で、青年に語り掛けます。
ですが、もう、あの馬鹿みたいな笑みを浮かべることなく、青年はただただ目を閉じて眠っています。
大きな声で、彼女のことを”吸血鬼”と呼ぶことも、
体力尽きるまで追いかけっこをすることも、
一緒にコーラを飲むことも、
あの路地裏で、のんびりと話すことも、もう二度とありません。

「それじゃあ、俺を狩れないじゃねぇか。」

冷たくなってしまった頬を撫で、吸血鬼は、ただただ、笑って、

「なぁ…”都我意”。」

消えてしまいそうな程、小さな声で、ぽつりと、呟きました。

次に医者が部屋へやってくると、青年の死体は、消えていました。
それはそれは、大騒ぎになりました。
相方のハンターも探すも、何処にもありません。

そして、それ以来、
正義の吸血鬼の噂も、ぱったりと聞かなくなりました。




青年の死体が何処へ行ったのか。
正義の吸血鬼がどうなったのか。
その答えを知る者は、誰もいません。





「なぁ、バウンティ・ヴァンプって知ってる?」
「ああ、最近特集してたよね?見た見た。」

「………バウンティ・ヴァンプ、ねぇ…。」

とある街の路地裏。
道を歩いていく人の声が小さいながらも聞こえてくるこの場所に、
ぼさぼさの髪に赤いスライム。
まるで骨のような手足。
胸には大量にまかれた包帯。
そして、大きな紅の瞳をうっすらと開き、ため息を零す青年の姿がありました。
棺桶の上で胡坐をかいて、ぼりぼりと頭を掻くと、

「俺、今すっげぇ有名人じゃね?スラりん。」

と、頭の上のスライムに語りかけます。
するとスラりんと呼ばれたスライムは嬉しそうに笑い、

「むにゃ。」

と、鳴いて、身体を震わせました。

「まぁ、正直今は有名人とかなっても、全然嬉しくないけどなぁ。」

そういうと、青年はごろりと棺桶の上に寝転がって、空を見つめました。
白い雲が、ゆっくりと、青い空を泳いで行きます。
ふと、小さい鳥二羽が、まるで追いかけっこをするように、空を飛んでいきました。

「………そういえば、久しくおいかけっこなんてしてねぇなぁ………」

小さくそう呟くと、頭の上に乗っていたスラりんが、小さい手を出して、ぺちぺちと、青年の頭を叩きました。

「おいきゃ、けっこ、しちゃい!!」

スラりんの言葉に、青年はきょとんとした後、大きな声で笑いました。

「ははははスラりんの身体じゃ無理かな!!」
「む、むりにゃにゃい!!しゅら、り、できりゅ!」
「そうかそうか!!だけどまた今度なー!!」

頭の上に乗っていたスラりんを抱きしめうりうりと撫でると、
スラりんは「う~」と小さな呻き声を上げて、プルプルと震えました。
青年はそんなスラりんを見てまた大きな声で笑うと、
空を再度見つめました。




「…見てるか都我意。約束、まだ守ってるぞ。」




昔々、あるところに、
正義の吸血鬼と、虚弱な青年がいました。
好敵手となった二人でしたが、
虚弱な青年は、小さな女の子を守るために、死んでしまいました。
悲しんだ正義の吸血鬼は、自分の持てる魔術を全て使い、身体を復元すると、
自分の身体を捨てて、その青年の皮をかぶりました。
虚弱な青年は死にました。正義の吸血鬼も死にました。
そして、一人の吸血鬼が生まれました。
彼は、今もどこかで、死んでしまった青年との約束を守っています。
二度と果たされることがない約束のために、今もなお。





+++++++++++++
ここまで読んでくださりありがとうございます。
密かに脳内でまとめていた過去話を修正し、絵本風な文章で書かせていただきました。
色々な伏線や設定も仕込んだ小説となっており、
今後ちょこちょこ載せていく中で回収できればいいなと思う所存です。
さらに、今回の小説で都我意に協会との関係性を持たせてみたりと、
CSVPの世界にさらに一歩踏み込めたと思っています。
次回、小説やイラストを描く際は、よそのお子様をお借りしても描きたいなと思います。

とまぁ、うん、

まさかの一日執筆なわけで、だけどとても楽しかった。

とても楽しかった!!!!((

昨日の夜のエチャがきっかけとなりまして、携帯にポチポチして、
パソコンに写し、加筆してたら、三時間経ってましたうわおい。
やっぱり文章も楽しいね!!

それでは、本日はこの辺で。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!!

拍手[1回]

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Comment
No title
うわ、あああぁぁ…
改めてこうやって文章になったものを読むと…泣くわ…切ねえ…
執筆お疲れ様ー!
今後の都我意の同行に期待アゲ!ですな!
青年と彼女の絡み図ももっと見たい、そして見たい!(大事なことなので2回ry)
都我意かわいいよ都我意によによによ(
>シン姉さん
文章を作成するということ自体が久々で楽しく書かせていただきました!!
青年と彼女の絡みは、自分も描いていてとても楽しかったので、今後も機会があったら描いていきたい所存です。
シン姉さんのCSVPも楽しみにしておりますん!!(^ω^*

コメント、ありがとうございました!!
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