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2024年05月06日
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【EARTH】少し前の話:ルド編【SS】

2011年08月26日
久しぶりの小説です。
ルドの話。突発文なので、読みにくかったらごめんなさい。

追記から↓
***
深淵の氷の間。
傍から見たら、きっととても美しい場所に映るであろうこの場所は、
悪魔にとっては、深淵で一番恐ろしい場所として有名だった。
そんな場所を、鼻歌混じりで誰かが歩いている。
アベラルド・ディアブロという悪魔は、暇があればこの氷の間にやってくるのだ。
何故かはシエテ・ペカドしか知らないらしく、何も知らない悪魔たちからしたら正気の沙汰ではなかった。
この氷の間は、シエテ・ペカドの長が封印されている場所。
その氷全てが、神の力で生成されており、
その力を吸い続けるだけで、下級の悪魔であったら体調を崩しそのまま死に至る。
悪魔からしたら猛毒の力が充満したその場所を、彼は余裕の表情を浮かべて歩いていた。
そして、しばらく歩いていると、とある氷の前で足を止めた。
大きい二つの氷が突出し、その中には、青白い光が二つ、儚く輝いていた。

「今日も来たぞぉ。」

歯を見せてにっこりと笑いながら、アベラルドはその光に声をかけた。
だが変化は何もない。
氷の間に、彼の声が反響し、静かに消えていくだけ。
だが、アベラルドはそんなのお構いなしにその場に座り、氷を見つめて口を開いた。

「今日はな、ある指令が出たんだ。ずーっと待ってたあの指令が出たんだよ。
 明日から、地上のメーカーズを見張ることになったんだ。」

そういうと、氷に背を預けて、光を見上げるような形になると、愛しそうに氷の表面を手で撫でた。
冷たく、焼けるような感覚が皮膚を襲っているに違いないのに、
彼は微笑を浮かべ、話を続けた。

「この指令の成果によっては、お前たちを出してやれるかもなんだって。
  そしたら、やっと会えるな俺達。」

立ち上がり、光を見つめて、ただただ微笑を浮かべる。
だが次の瞬間、
その手にはバトルアックスが握られていた。
さっきとは打って変わった殺意のこもった瞳を氷に向けて、
力を込めてバトルアックスを氷目掛けて振り下ろした。
カーン……ッカーン……ッ
鈍い音が響くものの、氷は傷つくことはない。
そして、しばらくすると、また氷の間に静寂が訪れた。
手に持っていたバトルアックスを力なく地面に落とし、アベラルドはその場で膝を折った。
荒い呼吸を繰り返し、傷一つ付かないその氷を見つめると、
弱々しく氷を拳で殴った。

「あんなに食って、こんだけ世界から外れても壊せねぇんだなぁ……」

まるで自分自身を嘲笑うかのような笑みを浮かべ、ずるずると拳を下す。

「俺だけじゃ、やっぱ何も出来ないんだな……」

静かに輝く光を見つめ、一瞬顔を歪めるがすぐに俯き、腕で目を擦る。
そして、バトルアックスを尻尾に戻すと、ゆっくり立ち上がり、少し赤くなった目で氷を見つめた。
まったく変化がないその氷と二つの光をただただ見つめ、
普段の、どこか他人を馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

「絶対そこから出してやるよ。お前らが、誰であっても。」 

そういうと、彼は氷に背を向け、氷の間の出口へ向かって歩き出す。

「そしたら教えてくれよ……お前らが俺の何なのか。」


誰もいなくなったためか、完全な無音空間となった氷の間。
そんな中、二つの小さな光が一瞬、強く輝いた。
まるで悲鳴のようなその輝きは、誰にも伝わることなく、
氷の間の静かな闇に、消えていった。

++++++++++++++++++++++++++++

突発文。
前々回に投稿した絵がイメージだったりします。
時間軸的には、ルドがまだメーカーズの敵だった時代。
今でもルドの中での最重要事項。
光は誰なのか、ルドは知らないけど、魂が覚えてる。
だから、助けたい。って話。

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