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2024年04月26日
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無機物屋【第一話】

2010年06月25日
当サイト初めての連載小説!!!!
ぐだぐだ文です。そして、軽く意味不明です!!!!!
続きからどうぞ!!!!


その冷蔵庫は『ミカ』と名づけられていた。
大きな業務用の冷蔵庫のミカは、その名に似つかわしい鋼鉄の冷蔵庫で、動いていたときはきっと、その大きな扉の中に広がる空間に
沢山の、食材を入れ、冷やし、その新鮮さを保っていたのだろう。
『今、中はどうなっているのか。』と、その取っ手に手をかける。
そのとき、

「その扉を開けてはいけません。」

この店のオーナーであるその男が、
どこからともなく現れ、言った。
私の雇い主でもあるその男は、ラベンダー色を基調にしたボロボロのコートとシルクハットで身を包み、
ボサボサの茶髪を、黄色いリボンで束ねている。
そして、その割れた瞳の奥の、吸い込まれそうな綺麗な翡翠色の瞳で、
じ・・・っと、私を見つめている。

「貴方も女性ならわかるでしょう。彼女の扉をいきなり開けるということは、貴方の今履いているスカートをいきなりめくられることに等しい行為です。」
「・・・オーナー、その例え、わかり易いって言ったら・・・わかりやすいけど・・・」
「む、ならこれはどうでしょう。貴方に、露出狂のコートを開く勇気が・・・」
「待って、オーナー。例えの対象が一気に真逆の方向に走り始めてる。」

こんなやりとりは、日常茶飯事である。
そういえば、紹介が遅れた。
私の名前は、里中 絵梨(さとなか えり)。
ある理由でここに働くはめになった、今年で高校三年生である。
とりあえず、話を、冷蔵庫のミカに戻そう。

「で、オーナー。ミカさんの中には、何があるんですか?」
「・・・とてもストレートですね。エリザベスさん。」
「私の名前は絵梨です。」
「そうですか、エリザベスさん。」

――――――――この野郎・・・。
内心そう呟いたが、この男はそういう男なのだ。
この男は、私の名前なんて興味ない。
だって、私は「有機物」なのだから。
オーナーが愛する物は「無機物」。
命を持たない「家具や雑貨」、それら全てが、この男の愛の対象だ。
そんな無機物への愛が、この店を作り出したと言っても過言ではない。

リサイクルショップ「無機物屋」。

この店は、普通のリサイクルショップのそれを大きく一脱している。

「商品」が「客」を選ぶのだから。

この男が作る店だ。
その客だって、無機物に決まっている。有機物の為を思って、店を作る男ではない。
ここでの「商売」を見慣れた私にとって、
オーナーが、どれ程、無機物に執着し、愛しているか。
そして、どれ程、有機物に対して興味がないか。
たとえ、それがまだ片鱗だとしても、
嫌になるくらい、良くわかった。

「ところで、エリザベスさん。」

突然、オーナーが私を呼ぶ声。
そして、それから0.01秒後、思いっきり腰にまわし蹴りをかまされた。
しかも容赦ない、本気の一撃。

「あいた!!!!?」
「喉が渇きました、紅茶を淹れなさい。ミカさんも、貴方が騒ぐものだからお疲れ気味ですしね。」
「え、待って。私よりオーナーのほうが・・・ってふぎゃ!!!?」

さらにもう一撃、頭に鋭いチョップ。
ジンジンと痛む頭を抱え、その場に座り込む。

「口答えは許しませんよ。私の下で働く有機物である以上、命令は絶対です。」

そのときの男のオーラは、すでに、
どこかの漫画で出てくる悪役のオーラだった。
やむ終えず、痛む腰と頭を我慢し、店の上にあるキッチンへ急いだ。
早く淹れないと、今度はどんな攻撃をしてくるか、わかったもんじゃない。

「すいません、ミカさん。」

だけど、
私は走りながら、
冷蔵庫のミカの中身を考えていた。
あの中には、きっと、あのミカがこの店に来ることになった理由が眠っているのだ。
そうでもなければ、あの業務用冷蔵庫が、この店にやってくるとは想像できなかった。

「もうすぐ、貴方の望んだ物が、ここを訪れるでしょう・・・」

私は、ふと立ち止まり、
後ろのオーナーと、ミカの方を見た。
すると、

「それまで、もうしばらく、お待ちを・・・」

ミカに会釈しているオーナーの体を、
一瞬、白い服の女性が抱きしめている様に見えた。

目を開いたオーナーの瞼から覗いた、吸い込まれそうに綺麗な翡翠の瞳が、
その一瞬だけ、鈍く、怪しく、光った。


++++++
はい、第一話です。
説明とかは、二話目でしっかりしようかと。複線なんて難しくて張れないよ!!!!!?;;;
元々文より絵よりなんで・・・ああうう・・・文才欲しい・・・
第二話、現在営利作成中。
しばしお待ちをーw
ではでは。

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